実を言うと俺の大学卒業見込が決定しその事を親父に知らせてから、家の中の雰囲気が若干?いや、結構変わった?..
先ず親父が一気に老けた?..老けたという言い方が適切でなければ、何か「抜けた」という感じ..胸のつかえが取れた、といった佇まい。
「単なる経年劣化だ。」と言われるかもしれないけど、俺が大学卒業見込の報告して以来、一気にだからねぇ..
..なんだ..俺の事そんなに気にしていたんだ、ウチの親父..自分の親の事も知らない、俺..
要は..また何か言われるかもしれんが、今のウチの雰囲気というのは丁度、玉音放送が流れたあの日の感じに近いと思う。
山田風太郎のエッセイにも書いてあったけど、敗戦後の日本の雰囲気って敗戦で負けて確かに落ち込んでるけど、市井の人々はかえってサバサバしていたそうだから。その事について山田風太郎は「どこまでも希望を忘れない事に感動した。」と書いていたからね。
アレに近い今のウチの雰囲気。..違う?..とにかく親父には申し訳ない事をした。大学卒業迄、時間掛け過ぎた、と思う..すまない気持ちで一杯だ..
北條洋平